組織のしなやかさ:レジリエンスって何だろう?

こんにちは、システムインテグレーターのTak@です。

このコラムでは、不確実な時代を生き抜くために企業が持つべき「組織レジリエンス」を、生成AIがどのように支え、進化させるのかについてお話しします。

組織レジリエンスとは、会社が困難や予期せぬ変化に直面したときに、ただ問題を避けたり元に戻すだけでなく、そこから学び、さらに成長していく力のことです。

考えてみてください、今の世の中は、自然災害、疫病の流行、インターネットを使った攻撃など、本当に様々なことが急に起こりますよね。

このような状況で、会社が生き残って発展していくためには、こうした変化に柔軟に対応し、活動を続けていく能力がとても大切になります。

組織レジリエンスが高い会社は、厳しい状況でも目標を見失わず、社員みんなで協力し、新しい状況に素早く対応できます。

例えば、以前、資金が底をつく寸前まで追い込まれた事務機販売会社がありました。

彼らは、テレワークを導入したり、社長が社員一人ひとりとしっかり話し合ったりすることで、状況を好転させ、新しい事業分野にも進出しました。

また、世界中で流行した疫病で飛行機に乗る人が大幅に減った航空会社も、社員を一時的に他の会社に出向させたり、スキルアップを促したりしながら、新しい事業を作り出しました。

これらは、会社が変化に対応し、それまで以上に良くなった良い例と言えるでしょう。

このように、組織レジリエンスは、会社が逆境を乗り越え、さらに力強く成長するための非常に重要な力なのです。

生成AIが組織のレジリエンスを支える方法

生成AIは、組織のレジリエンスを高める上で、とても役立ちます。

AIは、たくさんのデータをものすごい速さで処理し、人間だけでは難しい予測や分析、情報共有を、まさにその場で行うことができるからです。

具体的に、生成AIはこんな場面で役立ちます。

災害が来る前に予測し、対応を助ける

AIは、気象データや地震の記録を分析して、災害が起こる可能性を高い精度で予測します。

これにより、会社は事前に適切な準備ができ、事業が止まる時間を最小限に抑えられます。

日本の大手企業でも、AIを使って災害時のリスクを評価したり、部品の供給が滞らないように管理したりする取り組みが進んでいます。

社内のマニュアルを覚えて、社員の質問に答える

災害時、AIが社内ルールやマニュアルを学習し、社員からの質問に素早く回答できます。

これで、混乱を抑え、社員が落ち着いて行動するのを助け、どこに避難すればいいか、誰に連絡すればいいかといった重要な情報をすぐに提供できるでしょう。

安否確認の仕組みをより良くする

AIは、自動で安否確認のメッセージを送ったり、外国語に対応したり、社員からの返事を自動で分析して、助けが必要な人をすぐに見つけ出すのに役立ちます。

スマートフォンの位置情報と連携させれば、災害地域にいる社員を特定し、優先して安否を確認することも可能です。

訓練のシナリオを自動で作ったり、訓練中にリアルタイムでフィードバックを提供したりすることもでき、より実践的な訓練ができるようになります。

事業を続けるための計画(BCP)を効率化する

会社はAIを使って、様々な環境・社会・ガバナンス(ESG)に関するデータを分析し、将来の傾向を予測し、リスクを減らすことができます。

これにより、手作業での報告書作りが減り、もっと頻繁に、もっと素早く情報を公開できるようになります。

このように、生成AIは、予期せぬ事態への対応能力を大きく向上させ、会社が困難な状況から立ち直り、成長するための基盤を築いてくれるのです。

生成AIを使うための「プロンプトエンジニアリング」

生成AIの力を十分に引き出すためには、「プロンプトエンジニアリング」という技術が非常に大切になります。

AIは、どんな指示を出すかによって、返ってくる答えの質が大きく変わるため、人間が意図する結果を得るためには、適切な「プロンプト」(AIへの命令や指示)を設計する必要があるからです。

プロンプトエンジニアリングでは、AIに「具体的に何をしたいか」「どんな形式で出力してほしいか」「どんな背景情報を考慮してほしいか」などを明確に伝えます。

例えば、「OpenAIについて詩を書く」という漠然とした指示ではなく、「OpenAIについて、最近のDALL-EというAI画像生成機能の発表に焦点を当て、有名な詩人のスタイルでインスピレーションを与える短い詩を書いてください」のように、より詳しく指示することで、望む結果を得られます。

私は個人的に「生成AIは究極のマッシュアップツールだ!」と確信しながら、日々ツール作りを楽しんでいます。

例えば、私が作った「AI学習プランナー」は、目標と期間を入力するだけで、AIが最適な学習プランを提案してくれるツールです。

これも、AIに「どんな情報が欲しいか」を的確に伝えるプロンプトの工夫から生まれています。

つまり、プロンプトエンジニアリングは、生成AIの力を最大限に引き出し、私たちの意図通りの結果を得るための重要な技術なのです。

組織のしなやかさとAIの未来

組織のレジリエンスは、単に危機を避けることではなく、変化に適応し、成長する力であるという考え方があります。

これまでの危機管理は、マニュアルや手順に従うことに重点を置いていましたが、組織レジリエンスは、予測できないことも受け入れ、失敗から学び、柔軟に対応する姿勢を重視します。

AIは、この「適応と学習」のプロセスを加速させる可能性があります。

AIの予測能力や自動で分析する能力は、人間の判断を助け、より素早く、より良い意思決定を可能にします。

AIを導入する際には、データの質や個人情報の扱い、AIが偏った情報を作り出してしまう可能性、費用などの課題もあります。

しかし、これらを乗り越えることで、より強い組織を築くことができるでしょう。

プロンプトエンジニアリングは、これからも進化し、AIが最適なプロンプトを自動で作るようになるかもしれません。

しかし、その根底には、やはり人間の知識や経験、そして物事に対する考え方が不可欠です。

AIの高度な能力を支えるのは、それを扱う人間の熟練した技術と判断力なのです。

最後に

組織のレジリエンスを高めることは、現代の会社にとって、とても大切なことです。

生成AIは、そのレジリエンスを強化するための強力な手段となります。

AIを「使う側」である私たちが、その特性を理解し、適切な指示(プロンプト)を与えることで、AIは私たちの想像を超える力を発揮し、組織が困難を乗り越える手助けをしてくれるでしょう。

大切なのは、AIを単なる道具として捉えるだけでなく、人間とAIが協力し、共に成長していくという考え方を持つことです。

未来は予測が難しいものですが、AIと共に歩むことで、私たちはどんな変化にも対応できる、しなやかな組織を築いていけるはずです。

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photo by:Alex Shute