チームみらい1議席獲得!315億円の税金はどう変わる?永田町に誕生するエンジニアチームの挑戦

突然ですが、あなたは日本の政治に、年間約315億円もの国民の税金が、使い道の制限も、厳密な領収書の公開義務もなく使われているという事実に、驚きを感じるでしょうか?

もしこの金額が、私たちの生活に直結する医療費や教育費に回されていたら、どれだけの助けになるでしょう。

私たちの暮らしと無関係ではいられません。この「政治とカネ」を巡る長年の課題に、一石を投じようとする新たな動きが、今、永田町で静かに始まりつつあります。

はじめまして、Tak@と申します。システムインテグレーターとして、日々システムの裏側と向き合っています。本コラムでは、私の専門知識も交えながら、日本の政治が抱える「システム欠陥」と、それを刷新しようとする新たな挑戦について考察します。

「政治とカネ」が持つ、驚くべき「隠れた顔」

私たちの税金は、政党の活動を支えるために「政党交付金」として国庫から交付されています。この制度は、かつて政治家が特定の企業や団体からの献金に過度に依存し、数々の金銭問題が噴出した反省から、1994年に導入されました。

企業や団体からの献金に代わる、クリーンな政治資金の源泉となることが期待されたのです。

しかし、その実態は、私たちの期待とは裏腹に、不透明な部分が少なくありません。

政党交付金には法律上の使途制限がなく、報告書では「人件費」「事務所費」「宣伝事業費」「調査研究費」といった大まかな項目に分類されるだけです。しかも、個別支出として記載が義務付けられているのは、原則として1件5万円以上の経費のみ。

領収書の添付義務もありません

これでは、本当に適切な使われ方をしているのか、私たち国民が確認することは非常に困難です。

さらに深刻なのは、「二重取り」批判です。政党交付金制度が導入されたにもかかわらず、企業・団体献金は今も禁止されていません。つまり、政党は税金という公費と、企業などからの献金という私費の両方を受け取っているのが現状です。

これは、制度創設の理念に反していると強く指摘されています。

加えて、使い切れなかった交付金が国庫に返納されず、政党内部で「基金」として積み立てられる問題も浮上しています。2022年末時点で、各党の基金残高は合計で約215億円にも上ります。

政党側は「解散総選挙など不測の事態に備えるため」と説明しますが、国民の税金が使われずに党内に留保され続ける状況は、「税金の貯め込みだ」と批判を浴びています。

このような状況を目の当たりにすると、私は「政治とカネ」という言葉の重みを改めて感じます。透明性が不十分なままでは、どれだけ素晴らしい政策が提案されても、国民の信頼を得ることは難しいでしょう。

繰り返される「不正利用」の波紋

過去には、政党交付金の不適切な利用がたびたび報じられてきました。直近では、自民党の杉田水脈氏が政治資金パーティーのキックバックを収支報告書に記載していなかったとして刑事告訴される問題も報じられています。

これまでの事例は、いくら「適切に使用すべき」という建前があっても、使い道に具体的な制限がないという制度上の「穴」が、不正の温床となっていることを示唆しています。

村尾信尚氏(関西学院大学教授)は、「これだけ裏金を集め、法律に反することをやっている政党に政党交付金を今のまま交付していいのか、政党交付金の廃止も含めて議論していいと思う」と述べ、不正を行った政党には、今後5年間は一切政党交付金を配分しないといった厳しい罰則を設けるべきだと提言しています。

また、政党交付金の交付条件(国会議員5名以上、または直近の国政選挙で2%以上の得票率)を狙って、年末年始に政党の合流や分裂が繰り返される「駆け込み政党」の問題も指摘されています。これでは、税金が本当に国民のために使われるのか、疑問が残ります。

システム開発の現場でも、あいまいな要件定義は、後に多大な手戻りやコスト増を招くトラブルの元です。政治の世界でも、この「適切」の定義があいまいなままでは、同様の問題が繰り返されるのはある意味当然かもしれません。

「チームみらい」が挑む、政治の「OS」刷新

こうした閉塞感漂う日本の政治に、AIエンジニアの安野たかひろ氏が立ち上げた新党「チームみらい」が、テクノロジーの力で変化を起こそうとしています。彼らが目指すのは、「誰も取り残さない日本」を実現する「デジタル共生社会」。

そのための具体的な一歩として、彼らは「永田町にエンジニアチームを作る」という、これまでにない構想を掲げています。

安野氏は、現在の日本の政治には「デジタルリテラシーの欠如」「熱意もやる気もあるのに脱せない停滞感」「外から変えることの困難さ」という三つの課題があると指摘します。これまでのシステムは、変化への対応が遅く、国民の声が届きにくい構造になっていると感じているのでしょう。

そこで、「チームみらい」は、たとえ国会で1議席しか獲得できなかったとしても、国政政党としての要件を満たせば支給される政党交付金(年間約1.5億円)を、このエンジニアチームの運営に「全力で使いたい」と明言しています。

約10名規模の優秀なエンジニアとリサーチャーで構成されるこのチームは、開発した成果物を全てオープンソースとして公開し、国民が自由に利用・貢献できる形にする計画です。

想定される専門性としては、データサイエンティスト、UI/UXデザイナー、セキュリティエンジニアなどが挙げられ、彼らが既存の政治家や官僚と連携しながら、政策立案のデジタル化を推進していくことになります。

この発想は、まさにシステム開発の世界における「アジャイル開発」や「オープンソースコミュニティ」の考え方を、政治の世界に持ち込む試みだと私は感じています。

完璧を目指すのではなく、まずは動くものを作り、そこから学び、段階的に改善していく。これは、硬直化した政治の「OS」を刷新し、変化に柔軟に対応できる社会システムへと変えていくための、極めて実践的なアプローチだと深く共感しています。

エンジニアが「政治の仕組み」を「見える化」する具体策

では、この「永田町エンジニアチーム」は、具体的にどのようなツールや仕組みを生み出そうとしているのでしょうか。彼らは、国民の声を政治に直接反映させ、政治資金の透明性を高めるための「デジタル公共財」の構築を目指しています。

国民の声が届く「いどばたシステム」と「広聴AI」

まず、国民がオンラインで政策形成に参加できる「いどばたシステム」の開発です。これは台湾の成功事例を参考に、市民が誰でも提案を書き込め、一定の「いいね」を獲得すれば行政が正式に検討し、政策として採用される可能性がある仕組みです。

さらに、パブリックコメントに寄せられる大量の意見をAIで分析・整理する「広聴AI(ブロードリスニング)」の開発も進められています。

現状では、コピペコメントなどで「民意」が見えにくくなっていますが、AIを使って意見を意味で集約し、「意見の量ではなく、意見の幅を見る」ことで、行政が国民の多様な声を効率的かつ高精度に把握できるようになることを目指しています。

このような市民の声を集約するシステムにおいても、透明性とセキュリティを確保しながら、建設的な議論を促すことが何よりも重要だと考えています。

政治資金を誰もが追える「可視化ツール」

「政治とカネ」の問題解決に直結するアイデアとして、政治資金の流れを誰でも簡単に見ることができる「可視化ツール」の開発も計画されています。これは、現在の簡素で不透明な収支報告書では困難だった、資金の流れを「追える」ようにする試みです。

民間企業と同等の複式簿記の導入や、現金授受の完全禁止、そして検索可能なデータベースの構築といった提言が、経済界からも上がっていますが、「チームみらい」はこれをITの力で実現しようとしているのです。これにより、国民が政治に興味を持つきっかけにもなるかもしれません。

行政の効率を上げる「デジタル公共財」

その他にも、彼らは多岐にわたる「デジタル公共財」の創出を目指しています。例えば、地方自治体が独自のアプリを開発する際に利用できるオープンソースのシステムを提供し、全国への普及を支援する。

公務員の働き方を改善するため、FAXや紙の書類をなくし、AIアシスト型のワークフローや、法令情報をAPIで提供する仕組み。

子育ての負担を減らす「デジタル母子パスポート」や、オンライン診療の普及、AIによる画像診断、福祉サービスのプッシュ型支援、子ども一人ひとりに合わせた「AIアシスタント」による教育の個別化など、そのアイデアは私たちの日常のあらゆる側面に及びます。

これらは、特別な最新技術を開発するというよりは、「すでに存在する技術を、まだデジタル化されていない行政や社会の隅々まで行き渡らせる」という視点に立っています。

私は、このような取り組みが、日々の忙しさの中で感じるちょっとした不便さを解消し、多くの人の時間をもっと有意義に使えるようにしてくれると信じています。

「理想の政治」への「しなやかな」道のり

「チームみらい」が目指すのは、一度作ったら終わりではない、変化に柔軟に対応できる「しなやかな仕組みづくり」です。AIの急速な進化や国際情勢の不安定さなど、予測困難な現代において、社会システムも常に変わり続けられる必要があります。

彼らは、高額なシステムを一括で発注して特定の業者に固定化されるリスクを減らすため、「失敗を許容し、データに基づき素早く学ぶ政策サイクル」を導入することを提案しています。これは、まさにアジャイル開発の精神そのものです。

「チームみらい」は、自らを「ユーティリティ政党」と位置づけ、自らの政策実現だけでなく、他の政党や自治体の政策立案、テクノロジー活用、DXを積極的に支援していく姿勢を示しています。

これは、これまでの「敵か味方か」といった硬直的な政治の枠組みを超え、「社会をより良くする」という共通の目標のために、知識や技術を共有し、協力していくという、新しい政治の形を提示しているように感じます。

このような取り組みは、VUCA(変化の激しい現代)において、社会のシステムが柔軟に対応できるようになるための「体質改善」のようなものだと私は感じています。

まとめ:たった1議席が、政治の未来を変える

日本の政治資金の不透明さは、長年にわたり国民の不信を招いてきました。年間315億円もの税金が使われながらも、その使い道が曖昧であったり、不正利用が繰り返されたりする現状は、私たちSIerの目から見ても「システム欠陥」としか言いようがありません。

要件定義の曖昧さ、変更への追随性の低さ、そして意思決定プロセスのブラックボックス化は、まさにシステム開発現場で最も避けるべき課題そのものです。

しかし、「チームみらい」が掲げる「永田町エンジニアチーム」の構想は、このシステムに、外部からの「技術」という光を当てる試みです。

たとえ1議席という小さなスタートであっても、彼らが政党交付金を活用して「デジタル公共財」を生み出し、政治資金の透明化や国民参加型の政策形成ツールを実現していくことは、日本の政治に大きな変化をもたらす可能性を秘めています。

この挑戦は、単に「ITを導入する」という話ではありません。それは、「人々の暮らしをより良くするために、テクノロジーをどう使うか」という、社会のあり方そのものを問い直す動きです。

私自身は、このエンジニアチームの登場が、硬直化した政治に新たな風を吹き込み、国民一人ひとりの声がより届きやすくなる、真に民主的な社会の実現に繋がると期待しています。

あなたは、このエンジニアチームが、私たちの社会にどのような「新しい風」を吹き込むと想像しますか?

そして、その「新しい風」が吹いた時、あなたの暮らしや、あなたが考える「理想の政治」は、どのように変わっていくでしょうか?

安野貴博氏の挑戦は、まさに日本の未来を左右する重要なプロジェクトです。私はSIerとして、この挑戦に深く注目し、その進展を見守っていきます。

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